皆様初めまして、HNラヴァと申します。
バントウさんより「元リエナクター」とご紹介頂いていますが、リエナクターという言葉は普及しているとは言いがたいと思いますので、その説明から始めさせて頂きます。
リエナクターとはRE-ENACTORという造語で、リエナクトメントをやる者=「歴史再演者」の意味があります。
私達がやっているのは、WW2日米兵士の衣食住を当時のまま実際にやってみる(=演じる)という事になります。
よくサバイバルゲームと混同されますが、リエナクトメントには指揮系統や階級がハッキリと存在し、出来るだけ忠実に当該軍隊そのままの行動(兵士としての基礎挙動含め)を取ります。
当時の兵士の生活を研究し、衣服や装備はもちろん、食べる物も寝具も当時の物、又は当時の物を精巧にリプロダクションした物を使って再現します。
この光景は「ライブ・ジオラマ」と言って過言ではないと思います。
百聞は一見に如かずで、過去のイベントを記録した以下の動画をご覧下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=t8F8T2GA7H8&feature=PlayList&p=914D0A594C002CC7&index=6
http://www.youtube.com/watch?v=Uxro6pACvP8&feature=PlayList&p=914D0A594C002CC7&index=1
前置きが長くなりましたが、以上のような訳で、模型でも兵士=フィギュアの再現度が気になってしまいます。
そこで、雑誌等では取り上げられにくい米軍実物装備を紹介し、塗装やディティールアップの参考にして頂ければと思います。
今回は米軍戦車兵用ヘルメットを取り上げます。
WW2から50年代まで一般的に使われた戦車兵用ヘルメットです。
メインの素材はファイバー(布に樹脂をコーティングし圧縮した物)と革で構成されています。
ヘルメットなので金属製と勘違いされがちですが、頭部保護用のクラッシュヘルメットで耐弾性はありません。
(戦後にこれをコピーしたイスラエル軍用は、アルミの帽体になっています)
ゴーグルは43年頃より一般的になる、ポラロイド社製全用途ゴーグル。
レンズの周りはゴム、肌に当たる部分はウレタン製で弾力性があります。
レンズはドットボタン(いわゆる「ホック」)で簡単に交換可能で、現在も使われている米軍防塵ゴーグルまで基本デザインは変わっていません。
インジェクションキットでは、ドラゴンの米戦車兵キットが実物のパーツ分割そのままに再現しており、細部のモールドも正確で、現在これ以上良い米軍戦車ヘルメットは存在しません。
ただし、パーツ間にちょっと段差が生じますので、写真を参考に擦り合せすれば良いでしょう。
そのドラゴンキットでも再現されている矢印部分にご注目。
これはレシーバー押さえで、革張りの金属板スプリングです。
キットでは分割されている為、継ぎ目が出ますが実際にはこのように繋がったものです。
レシーバー自体は航空隊のレシーバーと同型で互換性があり、掲載品は航空隊の物を取り付けています。
戦車用はコードの長さが、もっと短いようです。
レシーバーから延びるジャックは左右どちらからも出ている写真が確認出来ます。
おそらく車内配置次第で、交換機のある位置に準じているものと思われます。
左右は簡単に交換出来ます。
後面から。
左右レシーバーから延びたコードが芯材とより合わせられ、一本になっています。
コードは布で保護されているので、コタツのコードを思い浮かべる方も多いでしょう(笑)。
バッテンになっているのは、可動式の左右耳当て部分を固定するバンドです。
ゴム製で伸縮性があります。
耳当てに固定せず、このように後ろでも留められるデザインになっています。
記録写真でも散見される状態です。
バンドを後ろのドットボタンから外し、耳当てに固定した状態です。
二枚目の画像と比べてみて下さい。
ドラゴンキットのヘルメットは、全てこの状態で再現されています。
レシーバー押さえは可動式で、このように360度回転出来ます。
側頭部への圧迫を嫌ってか?、記録写真ではレシーバー押さえを立たせている戦車兵もいます。
レシーバーは革製のフタで耳当てに内蔵されます。
内装のサスペンションは全て革製です。
耳当て固定バンドは、このように中で一本に繋がっています。
このヘルメットは野球用ヘルメットや用品で有名なRAWLINGS社製です。
一説にはアメフトのヘルメットを参考にデザインしたとも言われていますが、マルC表記とパテントナンバーも刻印されていますので特許があるのでしょう。
ゴーグルは、このようなキットで兵士に支給されます。
レンズは透明以外に用途別で3種付属します。
1.グリーン(アンバー色)「For glare protection on normal days」
2.グリーン(緑色)「For glare protection on exceedingly blilliant days」
3.ダークアダプター(赤色)「For adapting the eyes for night vision」
1と2はいわゆるスモークシールドですが、3の赤レンズは夜間視力を得る必要がある時に室内で掛ける物です。
(瞳孔をより開かせる為)
夜間任務を前にした航空兵が、目を慣らす為に室内でこれを使用している写真もあります。
ケースの説明文には「他のレンズに被せたり、日光下で使用するべからず」と書かれています。
後編では記録写真でもよく見かける、スチールヘルメットを被せた状態を解説しようと思います。
ご質問、間違いへのご指摘等ありましたら、遠慮なくコメントをお願い致します。